現在位置: ホーム / Software / PHASE / PHASE Examples / Diffusion mechanism of fluorine atom adsorbed on Si(111) reconstructed surface

Diffusion mechanism of fluorine atom adsorbed on Si(111) reconstructed surface

F原子のSi(111)面上における拡散過程

 

Diffusion mechanism of fluorine atom adsorbed on Si(111) reconstructed surface
F原子のSi(111)面上における拡散過程

Y. Asari, J. Nara, T. Ohno (National Institute for Materials Science)
浅利裕介、奈良純、大野隆央 (物質・材料研究機構)

ハロゲン原子によるSi表面のエッチングは工業的に非常に重要な過程です。これまでハロゲン原子の吸着・脱離(Siを伴って脱離する場合、エッチングとなります)についてはよく調べられてきましたが、その間の過程である、表面拡散現象についてはあまり注目されていませんでした。

近年になって、東北大学の藤川先生のグループでF原子の表面拡散現象が調べられました。その研究では、表面のF原子の拡散には、表面拡散している余剰のSi原子の寄与が強く示唆されています。

そこで、Si(111)面上におけるF原子の拡散について計算機シミュレーションで調べました。通常、表面原子の拡散では原子そのものだけが拡散する場合が多いです。しかしF原子のみが拡散する場合には、F原子・表面Si原子間の強い結合を切断する必要があるため、拡散バリアが2.32 eVという非常に大きな値になりました。一方、上図に示すようにSiFという塊で拡散すると、上記のSi-F結合の切断を回避することが出来ます。この過程の拡散バリアは1.34eVとなり、著しく小さくなります(下図)。この拡散様式ではF-Si結合を切断する代わりに、相対的に弱いSi-Si結合を切断することでバリアが小さくなります。また、この過程には表面に存在する余剰のSi原子が非常に重要な役割を果たすことも分かりました。

Si-F拡散の概念図

Si-F拡散の概念図
SiF complex diffusion model

SiF拡散過程のエネルギープロファイル

SiF拡散過程のエネルギープロファイル
Total energy diagram and corresponding structures for SiF complex diffusion

Program:
PHASE v7.00

References:
1. Y. Fujikawa, S. Kuwano, K. S. Nakayama, T. Nagao, T. Sadowski, R. Z. Bahktizin, T. Sakurai, Y. Asari, J, Nara, and T. Ohno, “Fluorine diffusion assisted by diffusing silicon on the Si(111)-(7x7) surface”, J. Chem. Phys. 129, 234710 (2008).
2. Y. Asari, J. Nara, and T. Ohno, “Theoretical study on diffusion mechanism of fluorine atom adsorbed on Si(111) reconstructed surface”, Surf. Sci. 605, 225-231 (2011).