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: ``DOS''ビュー : 計算結果解析 : ``list of files''ビュー   目次


``log''ビュー

図 5.34の, ``log''タブをクリックすると, 図 5.36で図示している 「PHASE標準出力解析画面」が得られます. なお, PHASEの標準出力はoutputxxxというファイルに書き込まれます. ここでxxxは三桁の数字で, 同じディレクトリー上で実行された回数に対応する数字です. 基本的に数字が大きい方が(同一ディレクトリー上で)より最近行われた計算に対応します.
図 5.36: PHASE標準出力解析画面1.
Image phaseresults_stdout_general

基本的な利用方法としては, 一番上の``select stdout file''リストから目的の標準出力ファイルを選択します. するとそれに応じて 画面全体が再描画されます. 最初にこの画面を表示した場合, 最も新しい標準出力ファイルが選択された状態になります.

``editor''ボタンをクリックすることによって標準出力ファイルをテキストエディターで開くことができます. さらに, 標準出力ファイルは 色々な種類の情報が記述してあるので, キーワードでフィルターを掛けたテキストを参照できる仕組みを備えています. この操作を行うには, 次の手続きを踏む必要があります.

例として, 標準出力ファイルから大文字で``TOTAL''という文字列の含まれる行(全エネルギーの収束具合を確かめることができます)をエディターで 表示した様子を図 5.37に図示します.
図 5.37: 標準出力ファイルより, ``TOTAL''という文字列を含む行のみを抜き出してエディターで表示している例.
Image output000_total

標準出力の中でも比較的重要と考えられる情報を残りの画面を利用して表示しています. この画面はタブで区切られており, ``general''タブをクリックすると一般的な情報が, ``SCF''タブをクリックするとSCF計算の履歴が, ``post''をクリックすると ポスト処理部での情報がそれぞれ得られます.

まず, 図 5.36で表示されている「一般的な情報」の説明をします.

  1. ``program start time''領域: 計算の開始時間が表示されています.
  2. ``jobstatus file'': ``jobstatusxxxファイルの内容が表示されます. このファイルは, PHASE入力のprintoutlevelブロックで, baseを1以上に設定した際に書き出されるファイルです. ここでは次の情報を知ることが可能です.
    status
    ``START'', ``ITERATION'', ``FINISHED''のいずれかの文字列が表示されます. それぞれ初期化・繰り返し計算・計算終了を表します.
    iter_ionic:
    イオンの更新回数です.
    iter_elec:
    電子の更新回数です.
    elapsed_time:
    経過時間です.
  3. ``MPI info''領域: MPIに関する情報が表示されています. 利用したプロセッサー数, バンドの並列度, $ \bm {k}$点の並列度が左から順に表示されています.
  4. ``number of bands and generated k-points''領域: バンドの数とプログラムが作成した$ \bm {k}$点の数を表示しています.
  5. ``Fermi energy''領域: フェルミエネルギーと, 系が金属であったか非金属であったかの判定が出力されています.

図 5.36の``SCF''タブをクリックすると, 図 5.38が得られます.

図 5.38: PHASE標準出力解析画面2.
Image phaseresults_stdout_SCF_energy

この画面上では, SCF計算の各ステップで得られたエネルギーの詳細がテーブルで表示されています. 各カラムは, 次のような量に対応します.

iteration:
SCF計算の更新回数.
total energy:
全エネルギー.
edelt:
各イテレーションでの, 前のステップからの全エネルギーの変化分.
KI:
運動エネルギー.
HA:
Hartreeエネルギー.
XC:
交換相関エネルギー.
LO:
局所エネルギー.
NL:
非局所エネルギー.
EW:
Ewaldエネルギー.
PC:
コア補正エネルギー.
これらのデータをグラフで表示することも可能です. その操作は, 下部にあるボタン領域で行います. 詳しい操作方法の説明は第10章で行います.

さらに, 図 5.36ないし図 5.38の``post''タブをクリックすると図 5.39が得られます. この画面はさらにタブで区切られており, ``eigenvalue''と``stress tensor''を選択することができます. 前者は最終的に得られた固有値の情報, 後者は(計算する設定にしている場合は)計算されたストレステンソルの情報を表示します.

図 5.39: PHASE標準出力解析画面3.
Image phaseresults_stdout_post_eigen
固有値表示画面では, まず図 5.39\vbox{\kern3pt\textcircled{{\scriptsize 1}}}にフェルミエネルギーの値が表示されています. ついで, どの$ \bm {k}$点の固有値を表示させるかを選ぶためのリストがあります(図 5.39\vbox{\kern3pt\textcircled{{\scriptsize 2}}}). ここから表示したい固有値に対応する$ \bm {k}$点を選択してください. 最後に, 図 5.39\vbox{\kern3pt\textcircled{{\scriptsize 3}}}に固有値などの情報がテーブルに表示されます. このテーブルの各カラムは次のような量に対応します.
band index:
バンド指標.
eigen value:
固有値.
occupation:
占有数.
SCFの場合と同様, グラフ表示などを行うことも可能です. この点は第10章にて解説します.

図 5.39の``stress''をクリックすると, 図 5.40を得ます. この画面ではストレステンソルの値を参照することが可能です.

図 5.40: PHASE標準出力解析画面3.
Image phaseresults_stdout_post_stress
表示されている3$ \times$3テーブルの値は, 表 5.1のようになっています.
表 5.1: ストレステンソルの表示形式.
$ \sigma_{xx}$ $ \sigma_{yx}$ $ \sigma_{zx}$
$ \sigma_{xy}$ $ \sigma_{yy}$ $ \sigma_{zy}$
$ \sigma_{xz}$ $ \sigma_{yz}$ $ \sigma_{zz}$


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jkoga 平成22年4月27日